ジュエリーの歴史

現在で、ジュエリーはファッションの一部として使われていますが、古代の人々にとって、宝石には神秘的な力があると信じられてきました。例えば、ダイヤモンドは病を治す力、エメラルドには魔除けに力、ルビーには災厄を予言する力があると。
そうした宝石の力を身につけるため、最も愛好された宝飾の様式が指輪やペンダントだったのです。キリスト教文化がヨーロッパ全域に浸透した中世の指輪の様式に、神秘的な力を持つ宝石や不滅を象徴する黄金を、信仰の証として身に着けることは、神の恩寵にあずかることを意味していました。当時の人々にとって、祈りは日常の一部であり、自身の指に視線を落とすたびに神への思いを新たにすることのできる指輪は、信仰の恩恵の下に生活するには必須の品だったのです。
そうした祈りのための宝飾美術に新たな側面が加わったのが、中世が近世へと移行した14世紀のルネッサンス時代のことでした。教会の権威、つまりは教権と覇権を争う王権すなわち王族貴族社会の権勢が、家門を誇るために宝飾品の製作と配布に心を砕き始めたのです。天なる神秘の象徴であった宝飾品が、権威の象徴となり始めたのです。
ルネッサンスの科学革命や十字軍の帰還による中近東の先端技術の導入も手伝い、宝飾加工は急速に発展しました。芸術が家門の誇りの象徴となったのがこの頃であり、宝飾美術が宝石自体の価値に加えて、カット手法を筆頭に精緻を極める加工技術を探求し始めたのがこの時代のことでした。

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